2016年9月30日金曜日

国割り当てを含まない減産合意はOPECの壮大な実験

予想外の合意というヘッドラインはインパクトがありながらも、国ごとの割り当て決定は11月の総会に持ち越しということで、実質何も決まっていない状況。OPECが減産してもシェールが増産されて相殺されてしまうことが見込まれている中で、おそらくOPEC自体も彼等の価格コントロール力に疑問を抱いており、今回の減産合意のアナウンスメントは、OPEC減産を受けて価格が実際に上がるかどうかOPEC自体が試してみるためになされたものだと思います。
最大の懸案はイランの生産量ですが、生産量据え置きとすると自動的にイランを含めた各国の生産量割り当てが決まってしまうところ、敢えて減産とすることでイランの生産量問題を棚上げし、かつ、上記の実験を行うことを可能にしたのだと見ています。
実験の結果としてWTIがこれまで40ドル台で推移していたところ、50ドル台もしくはそれ以上での推移に移行すれば、11月の総会での各国割り当ても含めた減産決定がなされるでしょうが、相変わらず40ドル台であれば今回の「減産合意」は何らかの屁理屈をつけて、無かったことになるかと思います。
チャート的には今回の決定を受けて7月上旬からのレジスタンスラインを上抜けた形になっているので、まずは50ドルを回復する展開が予想されます。問題はその水準を維持できるかで、米在庫統計で原油生産の速やかな増加が確認できればすぐ40ドル台に戻ってくるでしょうし、実はシェール企業の破綻や人員の他産業への流出で思っていたほど速やかに増産が進まないということになれば、50ドル台を維持したことを受けた、OPECの国割り当てを含んだ減産決定を受けて節目の60ドル、そして2014年夏からの下落の半値戻しレベルの65ドルを目指していく展開になるかと思います。