2016年12月2日金曜日

OPECは10ドルの価格コントロール力を確認

結局減産したなー、と思いながらこの二ヶ月間を振り返ってみてなんだか残る違和感の原因は非公式ミーティングの多さ。今回はあちこちで色んな関係者が協議を行い、減産する、しない両方のメッセージがマーケットに乱れ飛んだ印象でした。
その間の原油価格は9月末の減産大枠決定後に50ドル台を回復するも、10月末の非公式会合物別れで40ドル台前半まで下落。今回の減産決定で再び50ドル台回復という流れで、減産無かりせば40ドル台前半、減産すれば50ドル台前半という、概ね10ドルのレンジでのOPECの価格コントロール力を確認した形となりました。不自然な非公式会合バブルもおそらくOPEC自身がどの程度の価格コントロール力を持っているかを確認するためだったんだと思います。
40ドルを基準にすれば10ドル分の上乗せは25%の増収につながりますから、計算上は現在のOPECの生産量3,400万バレルの25%にあたる850万バレルまでは減産しても現在の収入を維持できることになります。今回の減産幅は120万バレルですから、まだ730万バレル分の追加減産幅がある状況。OPECは次の生産枠決定を来年6月に予定されている次回総会としていますが、価格の高止まりを受けてシェールが急速に生産量を拡大してくるようであれば、総会前に臨時総会を開く等してさらなる追加減産をしてくる可能性は十分にあるかと思います。シェール企業ばりに機動的な生産量調整の姿勢が市場にサプライズとして受け止められれば、60ドル台も超えていくようなラッキーな展開につながる可能性もあります。
シェールの生産量はピーク時から100万バレル程度落ち込んでいる状況で、その100万バレル分は比較的早い段階で回復してくる可能性はあります。ピーク時を超える増産については、原油高価格時の増産ペースが安定的に年間100万バレル程度だったことから、今後もそれくらいのペースで増えると想定するのが妥当かと思います。それを正とすると、OPECは比較的早い段階で追加減産を100万バレル、その後は一年に一回100万バレル分の減産を行なっていく形で6年は耐えられる計算になります。
アメリカのシェール生産量は2020年にピークをむかえるというのがこれまでの一般的な見方ですので、そのシナリオ通りであれば年100万バレル減産戦略を続けることでOPECはシェールによる危機を脱することができるはず。もちろんトランプ要因でシェール生産見通しが上振れとなれば戦略の再検討が必要ですが、今の段階では機動的減産戦略がベストな選択肢かと思います。
OPECはシェール生産量の急回復を心待ちにしてるかもしれません。

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