産油国非公式会合への期待からWTIは47ドルまで上昇。日量150万バレル程度の供給過剰状態への寄与内わけは米シェールが140万バレル、その他が10万バレル程度です。
この10万バレルは昨年夏くらいから生じているもので、この小幅な供給過剰分の存在をもって、需給調整機能がレーゾンデートルであるOPECが生産量を据え置く決定をする大義名分が成り立つわけですが、春の会合ではイラン不参加により失敗。制裁解除後に増加してきたイランの生産量も春以降は伸びが鈍化しており、9月の会合までに制裁前の水準まで戻る期待は薄く、結果として9月の会合においてもイランが生産量凍結を呑めずに失敗ということになりそうです。
2030年代には石油の純輸入国になると見込まれるサウジはビジョン2030を策定して脱石油政策に必死ですが、いきなり自分達だけで何かできるわけはなく、結局アメリカに頼るために、皇太子と石油大臣がワシントンとシリコンバレー詣でをしたのがニ、三か月前。直後に石油大臣が近い将来の需給均衡見通しを示したことからアメリカから原油価格上昇に向けての協力を要請されたことが推測され、今回の非公式会合はその要請に対して応えたものと考えています。
ただ、サウジとしてもいきなり100%回答を返すと、経済改革に向けてのさらなる協力要請をアメリカにしたくなった時に持ち駒が無い状態になるため、本気度は半分くらいのような気がします。
非公式会合においてはイラン抜きでの生産量据え置きもパターンとしてあり得ますが、上記のようにサウジの本気度が疑われることや、今やイランがロシア、トルコとの同盟関係のような状態になって中東で覇権を拡大している中で、原油生産についてイランに譲歩する形になるのはサウジとしてとても耐えられないだろうことから、選択肢として取りえないと思います。
非公式会合は9月の26日から28日までとまだ一ヶ月以上先な中でするすると上がって100日移動平均も200日移動平均も越えてしまった原油ですが、直近の高値レベルかつ節目である50ドルを大きく越えて上昇していくには、一ヶ月以上先の不確実な材料では力不足感が否めず、越えていくにしても次に目指すポイントが100ドルくらいまで見通しても全く無く、そういった状況から非公式会合までの一ヶ月間、40ドル台後半から50ドル台前半をふらふらとさまよい続ける状況になりそうです。そして非公式会合では物別れに終わり、11月のOPEC総会で再度話し合おうということになって、非公式会合後も同じレベルをさまよい続けるのがメインシナリオです。
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