コンタンゴの縮小が2月からの米原油在庫の取り崩しへとつながるかと予想していましたが、原油在庫は増加するという逆の動き。確かに第一限月と一年先、二年先の先物の価格差は売りヘッジの影響で縮小しているものの、実際のポジションローリングに関わる第二限月、第三限月との価格差は、そもそもそれらの限月の価格が売りヘッジターゲットレベルと想定される55ドルに達していないことから縮小しておらず、在庫取り崩しにつながっていない状況です。
米原油生産の回復を背景に2016年4月につけた史上最高の在庫水準を回復した米原油在庫ですが、気になるのは今後在庫がさらに増加していくのかということ。現在まで続く原油高在庫状態が始まったのは価格下落の流れの中でフォワードカーブがコンタンゴに転じた2015年初頭以降ですが、史上最高水準を更新していく局面は第一限月と第二限月の価格差が概ね1ドルから2.5ドルレベルまで拡大して在庫プレーで利益が得やすい状況になった時に生じており、価格差がそこまで大きくない時は在庫水準は維持もしくは減少という状況になっていました。現在の価格差は30セント程度と、在庫をさらに積み増していくというのに魅力的な環境とはとても言えない状況。それでは今後価格差が拡大する可能性はと言うと、過去に生じた価格差拡大は2014年夏以降の下落トレンドにおいて第一限月が安値を更新していく中で第二限月以降がついていけなかった局面で起きており、ここからのさらなる安値更新というと20ドル台前半レベルの話になってしまい、近い未来にはほぼ起き得ないと言っていいかと思います。
在庫のさらなる積み増しは生じにくいということは原油生産のさらなる増加にも障害となるわけで、在庫要因で原油生産が伸び悩み、それが需給タイト化につながって価格が上昇し、フォワードカーブはバックワーデーション化していく展開を中長期的なメインシナリオと考えます。
チャート的には50日、100日、200日移動平均が仲良く平行してサポートライン的に走って来たところ、一番上の50日移動平均に引っかかって大きく下落したのが2日前のマーケット。100日と200日がその下にしっかりいて安心感がある中で翌日にはあっという間に50日移動平均を回復しており、下値が堅い一方で上には売りヘッジターゲットと想定される55ドルがあって上値も重く、短期的にはレンジに相場が続くと想定します。
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